治療方針Policy

外来・入院部門において、虚血性心疾患、心不全、不整脈をお持ちの患者さまを中心に、検査や内科的治療、生活指導を行っています。不整脈に関連して、ペースメーカ植え込み後の患者さまについては、専門外来を開設し、定期的なフォローアップを行っています。高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病をお持ちの患者さまについても、診療を行っています。なお、学校や会社の心臓検診で異常を指摘された患者さまについては、運動負荷検査を含めた精査を行うことが可能です。

  • PCI(カテーテル治療)

    患者様にあわせた様々な治療法を実施
    プラーク病変・難治例に対する様々なアプローチ・IVL・ローターブレーダー・ダイヤモンドバック※・PCA等

    ※志太・榛原地域で唯一の施設認定取得

  • ペースメーカー植込み術

    患者様の負担軽減を追求した2種類のリードレスペースメーカー植込みが可能

    ※全ての頻脈に対してリードレスペースメーカーの植込みが可能(2025年9月より)

  • 下肢閉塞性病変に対するEVT治療

    EVT治療経験が豊富な術者により、血管閉塞・つまりによる難治病変でも対応可能


主な対象疾患Disease

静岡心臓血管センターでは主にこれらの疾患に対して、検査や治療を行ってきます。

1心筋梗塞、狭心症

動脈硬化が進行することで、心臓の血管(冠動脈:かんどうみゃく)が狭くなり動くと胸痛などの症状が出現する労作性狭心症(安静時の胸痛や1日に何度も胸痛発作を繰り返すものを不安定狭心症と呼びます)や、冠動脈が詰まってしまうことで強い胸痛が出現する心筋梗塞を起こすことがあります。心電図や心臓エコー検査、採血などで調べ、冠動脈CT等を行い狭心症の疑いが強いと判断したときに患者様と日程を決め心臓カテーテル検査を行ってきます。
心筋梗塞や不安定狭心症の場合は、すぐに診断と治療を行わないと心臓へのダメージが大きくなり、またときには死に至る可能性もあり緊急で心臓カテーテル検査および血管内治療(経皮的冠動脈形成術:PCI)を行ってきます。

労作性狭心症に対する診断と治療の流れ

  • STEP1

    心電図、心臓エコー検査、採血を行ってきます。

  • STEP2

    狭心症を発症するリスクが高いと判断した場合は運動負荷心電図や冠動脈 CT を行ってきます。

    糖尿病、高血圧、脂質異常症(LDL が高い)、喫煙歴、脳梗塞歴など
    狭心症を発症するリスクが高いと判断した場合は運動負荷心電図や冠動脈 CT を行ってきます。

  • STEP3

    労作性狭心症の可能性が高いと判断したときに心臓カテーテル検査を行ってきます。

    これらの検査で労作性狭心症の可能性が高いと判断したときに心臓カテーテル検査を行ってきます。治療が必要かどうかの判定には iFR や FFR といった冠動脈の圧力を測定することで血管内治療を行うか判断してきます。

  • STEP4

    治療が必要と判断した場合は、患者様に説明をした上で治療日程を決めてきます。

    心臓カテーテル検査:2 泊 3 日
    血管内治療(PCI):2 泊 3 日
    (心筋梗塞の場合は重症度によりますが 10 日程度の入院が必要です)


  • 冠動脈 CT( 正常血管 )1


    冠動脈 CT( 正常血管 )2


    心臓カテーテル検査
    左冠動脈前下行枝 閉塞


    経皮的冠動脈形成術後
    左冠動脈前下行枝にステント留置

    血管内治療の流れ

    手首周辺の拍動を触れるところを橈骨動脈といい、その血管経由でカテーテルなどを出し入れすることで治療を行ってきます。
    ほとんどの治療がこの血管から行えますので、治療後は安静にする必要がなく自由に行動ができます。
    心臓カテーテル検査時に治療適応となった冠動脈に 0.35mm( 通常のシャープペンシル芯は 0.5mm) のワイヤーを挿入します。
    そのワイヤーをレールとし、狭くなった血管を拡げる風船や血管の形状を維持させるステントを挿入し治療を行ってきます。
    複雑な治療を要さない治療であれば 1 時間もかからず終了します。

石灰化した血管の治療 ― ショックウェーブについて

年齢や生活習慣の影響で、心臓の血管(冠動脈)に“石灰(カルシウム)”がたまり、血管が硬く細くなってしまうことがあります。これを「石灰化病変(せっかいかびょうへん)」と呼びます。
こうなると、通常の治療(風船のようなバルーンを使って血管を広げる方法)では、うまく広がらないことがあります。そのような時に使われるのが、「ショックウェーブ」という新しい治療法です。
この治療では、細い管(カテーテル)を血管の中に入れ、硬くなった部分にだけ“やさしい衝撃波”をあててカルシウムをくだき、血管を広げることができます。この衝撃波は、硬い部分にだけ反応し、まわりのやわらかい血管を傷つけることはほとんどありません。
ショックウェーブのしくみは、尿路結石(おしっこにできる石)をくだく機械と同じ考え方で、とても安全性が高い治療法です。

当院では、最新の CT 検査や血管内のカメラ・超音波などで、血管の状態をしっかり確認し、そのうえでショックウェーブや他の治療法の中から、一人ひとりに合った方法を選んで治療を行っています。
「石がたまって血管がかたくなっている」と言われた方も、あきらめずに治療できる可能性があります。ご不安なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

2下肢閉塞性動脈硬化症

糖尿病や喫煙歴のある患者様に多い疾患です。
症状としては間欠性跛行(かんけつせいはこう)といって、歩くと足のつかれや痛みが出現してきます。重症になると安静にしていても足の痛みがあり、さらに進行すると足の指などに傷ができ、血液が通わないことでなかなか治らず足の切断が必要になることもあります。

また、この疾患にかかっている患者様は心臓の血管も狭くなっていることが多く心臓の精査も必要になります。
ABI(足関節 / 上腕血圧指数)という検査で簡単に正常、異常が判断でき、その後の精査が行われます。足の血圧は皆様が日常はかる腕からの血圧に比べ同等かやや高い血圧を示しています。ABI を測定し、0.9 未満であれば足の血管が細くなっている可能性が高く、血管エコー検査や下肢造影 CT 検査、造影剤を使用しない MRI で病変を特定してきます。
間欠性跛行のあるかたは医師と相談の上、血管内治療(経皮的末梢動脈形成術 :EVT)または外科的なバイパス術、リハビリや薬物での経過観察などの治療方針を決めてきます。
しかし、安静時に疼痛があるかたや足に傷がありそれがこの疾患の影響と判断した場合は早急に血管内治療(EVT)や外科的バイパス術の必要性があります。

下肢の血管に関しては久次(ひさつぐ)が主に担当しており、火曜日午前、木曜日午後、金曜日午前、土曜日午前の外来へお越し下さい。
紹介状等は不要です。


下肢造影 CT
左浅大腿動脈狭窄


カテーテル検査


バルーン拡張


ステントを留置
(ステントが必要ない時もあります)


充分に拡張され治療終了

3徐脈性不整脈(心拍数 50/ 分未満)

正常な徐脈と異常な徐脈は循環器内科にかからないと診断が難しい場合があります。
息切れ、めまい、失神発作など起こすような徐脈に関してはペースメーカが必要になってきます。
手術は歯科で使用するような局所麻酔で行ってきます。1 時間程度で終わる手術です。
現在のペースメーカは MRI 対応になっており、ペースメーカの設定変更を行えば MRI の撮影は可能です。焼津市内
では当院でのみ MRI 撮影が可能な施設になっております。

ペースメーカ植込み術:1週間程度(入院日数)

当院で主に使用しているペースメーカは
Abbott 社製の ASSURITY MRITMペースメーカになります。

4内シャント狭窄、閉塞症

これは透析を行っている患者さんの透析に使用する血管が狭くなる、または詰まっている疾患です。このままだと透析が困難になり、速やかな対応が必要になってきます。
透析を行っている施設からの紹介がありましたら、緊急で血管内治療(VAIVT)を行ってきます。30 分程度で終了し、入院の必要はございません。
主に久次(ひさつぐ)が治療を行ってきますので、外来を受診されるか医療機関から電話での対応も可能です。


診療日(循環器・内科外来)Schedule

受付時間
午前 志村 久次 高橋優 志村 久次 久次
午後 高橋優 志村 吉岡 久次

※ カテーテル検査治療(予定)火・金曜日午後実施

検査Inspection

1)運動負荷検査

運動負荷検査は、医師の監視下で、運動中の心電図変化を血圧変動とともに測定するものです。主に虚血性心疾患の診断のために行います。

2)心肺運動負荷検査

心肺運動負荷検査は、医師の監視下で運動負荷検査を行うものですが、心電図変化と同時に呼気ガス分析を行うため、心肺機能の評価が可能です。心臓術後や慢性心不全など、循環器疾患をもつ患者さまの心肺機能を評価するために行います。

3)ホルター心電図

超音波を使って心臓や血管の形、機能の異常、血流の異常、頚動脈における動脈硬化・狭窄病変などを診断します。

4)心エコー検査

超音波を用いて、心臓の動きや壁の異常、弁膜症などを診断する検査です。

5)血圧脈波検査

上下肢の血圧を測定し、動脈便化の程度を判定します。下肢の血管の詰まりを判断することもできます。

6)冠動脈CT

造影剤を用いてCT検査を行い、冠動脈の狭窄を診断する検査です。主に虚血性心疾患の診断のために行います。

心臓リハビリテーションの紹介Rehabilitation

心臓リハビリテーションとは、心疾患やそれに伴う手術後の患者さんに対して、体力の回復や日常生活動作の再獲得、 社会復帰、再発や再入院を防止することを目的として行う総合的活動プログラムのことです。具体的な内容としては、 運動療法や学習活動、生活指導、カウンセリングなどがあります。 当院の心臓リハビリテーションは、志太榛原地区でも他の医療機関に先駆けて心臓リハビリテーションを提供して参 りました。そのため、充実した設備と経験豊富な医療スタッフが整っていることが最大の特徴です。実際に当院の心 臓リハビリテーションを受けられて日常生活に自信を取り戻し、社会復帰されている方が大勢いらっしゃいます。 これからも当院では、1 人でも多くの対象患者さんの生活の質が向上して頂けるようサポートし続けて参ります。

スタッフ紹介Staff